リミテッド・ジャパニーズ

 まだ東京を脱出できない。僕は何度も何度も自問した。ほんとうにここには境界線があるのか? もちろん。嘘だと疑うんなら、君といっしょに試してみたっていいんだ。
 僕は今日も最新(ラスト)の算段を練っている。

 さようなら日本語。
 それでも僕はこの文章を日本語で綴る。それが僕の母語だし、僕の経験(つまり僕の脳の中味だ)をノベライズするのにいちばん適しているから。どっちにしたって”有限の(リミテッド)ジャパニーズ”で僕たちは会話して、僕たちは理解しあい、誤解しあう。その限定された感覚こそが、生、そのものだろう?
 いずれにしたって僕たちは有限なんだから。つまり、僕たちは生命体であり、だったら必滅の存在だ。
 死。
 僕はその限定について語る。

私かなり酔っぱらっているようです。兄と一緒にオツカレサマの東京脱出記念ビールを飲んで、こういう時って、別にだれのことを憎し痒しと思ってるわけでもないんですけど不思議とザマミロ的な気分に大変恐縮ながらなっちゃうもので、あーやっぱ日本って、東京って、どうなの、みたいなことを思いながら本棚からほぼ無作為に抽出された古川日出男を読んでみると、それにしてもですよ、ビールを飲みながら古川日出男を読むことは、ビールを飲みながら村上春樹を読むこと並みに酔っぱらうけど、でもその酔っぱらい方の中身は全然違っていて、ここ! この酔っぱらい方の違いの意味というのが、たぶんかなり文学史的には重要で私としては力説したいトコなんですけど、とはいえ私以上に酔っぱらい済みの兄はもう完全にヘッドフォンで音楽ガンガンモードに入っちゃってて相手にしてくれないのでこうやってひとりブログに書いたりしてて、で、それも寂しいから他人様のブログ読もうとか思って山下望さんのとこ覗いたらこんなことになっている。
http://newav.exblog.jp/10780396/
もうこの人ヤバ! ほとんど気狂いっていうか、あっ、でも気狂いって使っちゃ行けない言葉なんでしたっけ? じゃあ私がここで、気狂い、気狂い、気狂い〜って三回くらい書いたら通報されたりするんだろうか? きゃー、公安が! みたいな、あーバカみたい、こういうとこクリアできないと明らかにゴダール超えられないでしょ!みたいな、まーそんな茶番も阿呆らしいリミテッド・ジャパニーズ、くたばってしめえ。


さようなら日本語。サヨナラ、ニッポン。あ、これははっぴいえんどだっけ? とにかく、とはいえ、私はここにいますよ。日本語つかってますよ。その限定条件が、それはそれで私は愛おしいとも思っています。どうでもいいが、たまたまそこにいるがゆえに。あー酔っぱらいの私たち兄妹、明日ちゃんと飛行機に乗れるんだろうか、、、夕方の便とかにしておけばよかったとすでに後悔。あ、さっきの引用元はこちらっすよー↓ ただしごめんなさい、ルビふれないんで( )に入れちゃったりしてる。え、ビール買いたしてこい、みたいな兄の非道なお達しが。寒いよ!


二〇〇二年のスロウ・ボート (文春文庫 (ふ25-1))

二〇〇二年のスロウ・ボート (文春文庫 (ふ25-1))