ブ、ブ、ブルーなバレンタイン


お金がないのにパスモで高額チャージしちゃって鬱になってた兄ですが、まー金のことは心配すんな、いざとなったらあたしが養ってやんよ!と強気になるくらいの恐ろしさ、『ブ、ブルー』。予告編の映像はのほほんとしたキュートさが漂ってましたけど、そしてキュートであることはまごうことなくハッキリその通りなんですけど、でもこれは、す、すごい、、、


こないだ高知でサーカス観たせいか、古川日出男さんがピエロ? アルルカン? あるいはマリオネットに見えて仕方なかったんですけど、その道化的な不自由さを逆手にとって、古川日出男古川日出男であり、作家なのだというプレゼンスを舞台の上で示してみせた。これまで聴いた古川さんの朗読の中でもっともイメージに直結して見えた。と、いうか、兄がアフタートークで質問していたとおり、「観る」ということそのものを揺さぶられる感じがした。


そして黒田育世。すごい。匂ってきた。や、もちろんヘンな意味ではなくて、その存在が。狂った人間であることが。やーそうではなく、人間がそもそも狂いを持った存在である、ってことが証明されたということなんだけど、まあそれはいいや、ともかく、おそろしく美しい匂いをもった人であった。そしてなんとカワイイのか。少女がそのままオトナになったような、でも、やっぱり、大人の女である。


二人ともにそれぞれのメインのフィールドではない、ということもあるんだろうけども、それぞれにお互いを迎え入れている、という感じがあって、しかしそれが「譲歩」ではない、アフタートークで示されたように、むしろ綱引きのように確かめるように球を投げては返しということをやってああいうものができているのだ、たぶん。しかしいつもながら古川日出男については思うのだけど麻薬的なところがあって、脳内からずっとヘンなものが出ているような気がしてそれにトロけるとてもキモチイイ時間だった。それはちょっと危険なことだと思ってるけどね。


明日もあります。新百合ケ丘の川崎市アートセンターで。ぎりぎり当日券あるかも(今日は当日券は出たけど最終的には満員になった)。柴田元幸さんがゲストとしてアフタートークに出るらしいです。あっ、それと言い忘れましたが、古川日出男×黒田育世の対談が載っているエクス・ポ2もぜひお買い求めを!↓ 宣伝みたくてすみません。

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