]踵落とし


また夢の話。京都でフルカワさんが朗読&講演するというので観に行ったらアリーナのようになっていて、その二階席から見ると一回には名だたる批評家たちがうじゃうじゃといる。しかしながら名だたる批評家なんて絶対数が少ないからその数はたかが知れていて、そのうち彼らのひとりが挙手して質問したのだがどういうわけか緊張したらしく吃って何も喋れない。


それで私は呆れて会場を出てiPodでその講演の中継を聴いていたのだが、すると四条河原町だかどっかのストリートで女子高生がひとりすり寄ってくる。なんだか純朴そうだと思って気を許したら彼女はみるみる美人になり、上気した顔になり、明らかにパーソナルスペースを侵犯するくらいに近寄って来て、そのうちピタリと肌がくっついて、それでこれはプロだなと美人局を警戒したのだが今のところコワモテのおにいさんが出てくる気配はなく、それでその誘惑に少し乗ってみるのも悪くないかなという危険な賭けに出た。


しかも大通りを女子高生と歩くのは人目につくので、裏道を通っていこうと提案すると彼女も乗ってきて、いよいよ危険度は増してきたわけだが、さもありなん、先斗町のあたりになると彼女の身長は二倍あたりに膨らんで、3mを超すもはや女子高生ではありえない大女はおんぶしてあげようかと言う。それで言われるままなされるままにおんぶされたら彼女の手は私の臀部にあるポケットの中の財布を探り当て、ふふふおにいさんお金持ってるわねえと笑うのでそらきた、本性を現したな化け物め! と背中から飛び降りて対峙する私。すると彼女は鬼の形相で踵落としを繰り出してくるのだった。しゅしゅっ。