駒場のこと


早起きしてBumkamuraの「ルノワールルノワール展」に行こう、なんて約束したにも関わらず二人とも寝坊したので時間がなくなり(しかも僕は二度寝!)、客引きしていたPHOTO CAFEにいきました。

http://www.fotocafe.jp/



そのあと何か美味しいランチを食べにいくらしい彼女を寂しく見送って、公園通りとかハンズ裏のごちゃごちゃしたあたりをひとりで歩いて仕事のできる場所を探したけれどこれといった店が見つからず。あきらめて井の頭線に乗ったら大学時代の友達に車内でばったり会ったのです。


僕たちは駒場の自主ゼミで知り合った仲で、彼は当時理論的に哲学や社会学に傾倒していたように思われますが、理論的に哲学や社会学に傾倒する、といったモードはやはり学部を出て院に行ったりすると変化が兆すもので、彼はすでにあの頃の尖ったような感じをよくも悪くも失って、非常にマイルドな好青年に変貌しているかのように見受けられます。でもそれは僕が彼の表面しか見ていないだけであって、ほんとうのところの彼は内部になにかしらの不安やらリビドーやらその他もろもろの問題を抱えているのかもしれません。


それはさておき、その自主ゼミは2000年代のはじめに東大の駒場キャンパスで開かれたのですが、僕のように東大生でない学生や社会人も出入りしていて、理系も文系もごったまぜで、そののち消息の分かる人も分からない人もいますが、おおむね伝説になるだろう、という予感はあります。けれどもそれが伝説になるためには誰かがそれについて語らなければいけないので、では誰が語るのだろうと考えてみると、その講師というかファシリテーターを務めていたきわめて声の大きかった人はすでにこの世になく、出入りしていた学生の中でやはりもっとも可能性があるのは政治学系の研究者になった彼でしょう。あるいは理系ジャーナリストに進んだ彼か、物理学の専門で今は某企業でバリバリ働いているらしい彼女か、それかまあ僕あたりなのかなという気がします。なぜならばそこには、語りたがりの業(ごう)、というようなものがあるからです。