デジャヴでつながる恋もある


いくつかショッキングな事態に直面する。ひとつめ。「エクス・ポ」1号にインタビューが載っていた榎本俊二の『ムーたち』を電車の中で読んで、思わず吹き出してしまい、あわてて花粉症で鼻がむずむずしているフリとかしてみたのだが、そんなことはとりあえずどうでもよくて、第2巻の50話、ここで花見をしている連中に強烈な既視感を覚える、おかしい、榎本俊二は初めて読むはずなのに、と思ったら、それは中高時代に愛読していた「近代麻雀」系のマンガ雑誌に載っていたヘンテコなエログロナンセンス漫画のキャラとまったく同じなのである、と思って急いで今ネットで調べてみたらやはりあれは間違いなく榎本俊二氏の漫画であった。僕はほんとうにあのよくわからない漫画が好きだったのである。彼の漫画が載っている号はしばらくとっておいたくらい(エロかったし)。


もうひとつ、今日もアテネフランセ文化センターで計383分ペドロ・コスタを観て、もうここまで来るとほとんど神秘体験を授けられているような気がしてくるのだが、「血」と「溶岩の家」に出ていた女優イネシュ・メディロス、この顔にも強烈な既視感があって、そういえば昨日柳下毅一郎氏が「パルプ・フィクションの……」とか言ってたからもしやあのブルース・ウィルスの恋人役を演じていたマリア・デ・メディロスの変名かと思ったのだが、似ているのにやはりどこか違う。それでこれまたネットで調べてみたら、マリアとイネシュは姉妹だとのこと。なるほろり。なんだかほとんど初恋の人を観るような気持ちで観てしまった。