Jリーグが面白い、しかし!


昨日も勝ちました、FC東京。おおー、4位キープ。あんまり順位とか意識しないほうがいいと思うけど、ここ数年、上位にいることに慣れていないので(笑)、やっぱり意識してしまいます。個々の選手が自信を持ってプレーしているのが頼もしい。弱冠18歳のMF大竹くんは後半から入るとファンタジーを見せてくれるし……。左SB長友の縦への突破やFWカボレのゴール前への突進は見応えがあります。守備もかなりよくなってきたんじゃないの? GWはたくさん試合があるので楽しみです。次は攻撃サッカーを標榜して生まれ変わった大宮アルディージャが相手。その次はストイコビッチ率いる名古屋グランパスですよ。 記事 動画



ところでちょっと、大きな話をしていいですか? Jリーグには今年、ドイツのブンデスリーガで活躍した高原直泰が帰って来ました(浦和レッズ)。中田浩二も帰国予定(鹿島アントラーズ)で、さらにはあの中村俊輔さえも凱旋するらしいです(横浜Fマリノス?)。日本を飛び出して海外で活躍した選手がJリーグに戻って来る背景には、もちろん2010年のW杯を見据えた場合、海外組よりも国内組のほうがコンディション調整や周囲との連携構築が比較的進めやすく、さらにはナショナルチームに招集される際に、所属クラブチームとの交渉が容易であるといった面も考慮されてのことだと思います。けれどももっと大きな目で観れば、Jリーグ自体が魅力的なものとして選手の目に映りつつある、ということではないでしょうか。Jリーグに所属していても、ACL世界クラブ選手権など、海外クラブと対戦する機会が増えたということもあるでしょう。(アジアの各リーグ間で選手がもっと流動的に移籍できるようなシステムにするという話も持ち上がっている)


……とかマジメぶって書くと疲れちゃったので崩して書くと、端的にいって、Jリーグのレベルがあがってきたと思うんですよ。なんとなく、観ていて思うんですが、ぼくはオシムの功績が大きかった気がします。「走る」という単純な目標を掲げたことで、全体にタフになってきた。結果として、今のJリーグの試合の多くは、しっかりした守備をして、プレスをかけあって(あるいは実力差がある場合はプレスできないから引いて守って)、それで疲れてきてできた穴を突いて行く、という闘い方が主流になっている気がします。ぼくは、試合の後半になって、その穴ができた状態がピッチ上に具現されているのを観るのがなんとなく好きなのですが(ややフェティッシュですね)、そこにいたるまでの拮抗した状態も実に見応えがあります。球際、というのでしょうか。狭いスペースでボールを獲り合う時にフィジカルがしっかりしてないと、もはやJ1では通用しません(とはいえ、身体が大きければいいというわけでもなくて、昔のプロレスみたいに小さい選手が大きい選手に1対1で勝ったりもするから、観ていて面白い)。


さてこうなると審判です。選手同士の球際での競り合いが厳しくなってくると、なにがファウルでなにがそうでないのか、判断し、ゲームをコントロールする審判の責任は大きくなってきます。ジャッジひとつで試合の流れが大きく変わるということも、今までイヤというほど観てきました。にもかかわらず、サポーターも選手も監督も、おそらく共通して思っているのは、「ジャッジの基準が明確ではない」ということです。


まだ具体的なことがはっきりしていないので、昨日のFC東京VS大分トリニータ戦で試合中に起こったと言われる審判による(あったとしたら論外な)侮辱行為については、さておくとします。が、東京ダービーにおけるヴェルディの中心選手FWフッキの退場(こちらは審判に対する侮辱行為)、またここまで実にいいサッカーをして健闘していた京都パープルサンガの選手たちが2試合続けて退場処分になった事態、さらには選手逮捕で揺れる柏レイソルの得点源であり、オリンピック代表の最注目選手であるFW李忠成のこれまた審判に対する侮辱行為による試合後の退場処分など、審判のジャッジに対して選手が苛立つことから来る退場処分というものが急増しています。ちょっと、異様なくらいです。正直なところ、FC東京のサポーターとしては、柏の李が4試合出場停止を食らったことで、「今度の柏戦で李の野郎がいないのは助かった〜」(笑)と思う面はあります。でも観たい、と思うんですよ、一方では。すごくいい選手だし。ヴェルディのフッキも4試合の出場停止を食らいましたが、やっぱり彼のプレーを観たいと思う人はたくさんいると思います。でも処分を食らうとそれが観られなくなる。選手もコンディションを崩す。それはJリーグにとって大きな損失です。もちろん、退場処分を食らった選手が悪いと言えばそれまでなのですが、もしも選手と審判のあいだに最低限の信頼関係が築かれていたとしたら、こうしたことは起こらなかったのではないでしょうか?


近い過去には、一試合にあまりにも退場者を出しすぎて、冷静さを欠いたと判断され、研修送りになった審判がいました。退場処分にするべき選手を間違えて、別の選手を退場させてしまった審判がいました。ピッチの上を駆け回り、厳しい判定を続けなければならない審判の仕事が大変なのはよくわかります。でもそのジャッジひとつでそこにいる数万人、さらにはテレビの向こうの数万人を一喜一憂させる審判には、やはり冷静であってほしいと思います。そして、高いレベルを期待してしまいます。これはもはや、個々の審判が抱える個別の問題といった認識では済まなくなっている。個々の審判を見せしめのように研修送りにしたり処罰したりしても、もはやいたずらに審判の自信を失わせ、選手と審判のあいだにますます亀裂を走らせる結果にしかならないように思います。こういうときこそ、「キャプテン」とかなんとかいって日本のサッカー界を牛耳っている人であるとか、サッカー協会だとかは、ジャッジの基準を明確にし、選手と審判のあいだの信頼関係を構築する手だてを打つべきではないでしょうか。たとえば、フィジカルが強い選手が増えてきたのに、ふつうに競り勝ったのにファウル、みたいな判定についてJリーグとしてはどう考え、どう判断するのかとか。てゆうか、お願いしますよ。せっかく今Jリーグが面白いんだから。