映画のこと


赤坂大輔さんのBRAINZ「超現代映画論」第一回は極めて刺激的な講義でした。まさに秘密の授業といった様相で、ここで知ったことを外部に洩らすのはもったいないという気にさせられます。だいたいラウル・ルイスの映画(例えば『クリムト』)さえ観たことがないのにJose Luis Torres Leivaの存在なんて知ってるわけないし、カルメロ・ベーネドゥルーズの関係さえ知らず、マノエル・ド・オリヴェイラが撮った『繻子の靴』の、そのクローデルの手になる原作も読んだことがなく、さらに直近で言えば東京国際映画祭で話題になったイエジー・スコリモフスキーの『アンナと過ごした四日間』さえちゃっかり見逃している僕が、こんな濃密な話についていけるわけないじゃん!……ってことも全然なくて、むしろ赤坂さんによって滔々と語られる映画の世界にすっかり幻惑されてしまったのでした。超おもしろい。映画観たーい!


印象的だったのは、映画(というより映像)が枠の中に映るものをクリアにしていく傾向にある、という話。そういうクリアな映像を見慣れていくことによって、枠の中にあるものが全てであるかのように感じるようになっていく、というのはまさにそうかもなーと思いました。そういうのって映像だけにかぎった現象ではないような気もするし。そして僕がテルテルポーズでやりたいのって、そういう枠(フレーム)の外側に行くことなのかな、とか思ったりもしました。




ところで微妙に話は変わりますが、今夜からアップリンク七里圭監督の『眠り姫』と『ホッテントットエプロン――スケッチ』がアンコール上映されるそうです。連日のレイトショー。光と闇(見えるものと見えないもの)といった明瞭な二分法の彼岸にある映画だと思います(というほど単純じゃないのは当然ですが)。見逃した方はこの機会にぜひ。東京最終上映になるかもという話です。
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