ハイバイ「オムニ出す」


ハイバイの「オムニ出す」@リトルモア地下は、結局仕事のために最終日の「落/星」を見逃すことになりました。かなりくやしい。「常/仏」は昨日当日券で観て、そしてなんとなく流れで打ち上げに混ぜてもらって朝まで居座ってしまったのですが(ほんとはそれどころじゃない状況なのですが)、その場でちょっとした即興劇(?)にも加わらせてもらったりなんかして、いい話がたくさん聴けました。観客である以上、観客として観てればいい、といえばいいのだけど、やっぱり演出家や役者の人たちがその都度何を考えてるか、どう感じてるか知るのは、すごく面白い。っていうかいきなり見知らぬ人間が入り込んでったのに、優しくしてくださってありがとうございました、スタッフのみなさま。


ジャン・ルノワールの『ゲームの規則』の中に「この世には恐ろしいことがひとつある、それは全ての人間の言い分が正しいということだ」という印象的なセリフがありますが、ハイバイの劇はこないだの『て』もこの日上演された旗揚げ作の『ヒッキー・カンクーントルネード』も、まさに全ての人間の言い分が正しくて、それらがぶつかったりすれ違ったりする。その時、「痛み」や「優しさ」ととりあえず呼べるものが、ある濃度をもって劇場に顕われる。観客であるところの僕は、その濃密な何かに嬲られるような、あるいは囁かれるような気分になって、かすかに震えるしかない。それを笑っていいのか泣いていいのか、わからないけど、わからない宙づりの状態だからこそ、今目の前で生きている人たちのことをちゃんと見ようって思う。登場人物の誰ひとりとして嫌いになれないところが、ほんとに素晴らしいと僕は思ってます。




いやいやそれにしても。


2008年の11月という時間の中を、僕らは生きてるんだなー、と発見。身に沁みる風とアスファルトとビールの冷たさ。