キャンディ


テリー・サザーン原作、クリスチャン・マルカン監督で1960年代末に製作され、70年に公開されたコメディ映画。ひとくちでいえば、ロリータ少女が変態オヤジたちに襲われ続けるセクシャルハラスメント・ロードムーヴィー(笑)。


なにしろキャスティングがすごい。リチャード・バートン(カリスマ詩人)、ジェームス・コバーン(変態外科医)、ジョン・ヒューストン(スケベ院長)、シャルル・アズナブール(猫背の男)、リンゴ・スター(童貞の庭師)、マーロン・ブランド(謎の導師)、そしてアニタ・パレンバーグ(セクシー看護婦)といった錚々たる面子がずらりと顔を揃えるが、よくもまあこんなB級テイストの映画に出たもんだよね、みんな(しかもこれが、いかにも楽しそうなのだ)。名優たちに権威的な役所を演じさせ、それらを嘲笑しているという点では社会風刺になってるんだろうけど、とはいえ60年代的な生真面目な政治主張といった感じではまったくないし、むしろイデオロギッシュな言葉やありがたい御宣託の類いはすべて少女キャンディの放つ無邪気なエロスの前に台無しとなり、無効化されていく。それにしてもメチャクチャやってるなあ。こういうあられもない映画がメジャーなものとして公開されるという、その大らかさに拍手を送りたい。


ちなみに誰が観てもそう言うだろうが、キャンディ役のエヴァ・オーリンがめっちゃキュート。このヒロイン、まったく主体性がなく、とにかく周囲の状況に流されるまま、次々と出会ってしまうエロオヤジどもの毒牙にかけられていくのだが、エヴァ・オーリンはこの時18歳か19歳で、この後は数作のホラー映画にしか出なかったらしい。やっぱこの映画のもつシュールで破廉恥なイメージがあまりに強烈すぎたのか。とにかく彼女を観るためだけでも一見の価値ありとみました。


キャンディ [DVD]

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