工藤里沙『FLying Boat Float』


イメージフォーラム3Fの「寺山修司」(←ハコの名前)で工藤里沙の短編映画『FLying Boat Float ー飛行艇、浮かぶー』を観ました。いやー、本当にすばらしい! ダメ男くんがいて、美女がいて、ヘンなおじさんがいる。美女は早世してしまって、ダメ男くんはファンタジーの世界に逃げ込むのだが、その夢のなかで蘇った美女と、パイロットに扮したヘンなおじさんと、3人で飛行艇に乗って飛んでいく……。


観る前はもっと線の細いファンタジーかと思っていたのですよ。愛する人が死ぬ話とかも、あんまり好きじゃないし。ところが、ところが、この女の子がすごく強くて(笑)、死んでもなお生き生きとしており、ダメ男くんの弱弱なファンタジー(勝手な幻想)を見事に粉砕してしまう。その手つきが、しなやかで、爽やかで、とても優しいのだ。


そしてユーモアのセンスが抜群! セリフもすばらしい! なにより、きわめて特殊な効果を用いた映像の美しさ! しかも音楽も良いという! おまけに主演女優が美しい! 今は部分的な長所をあげつらいましたが、飛行艇のシーンなんて、もうこれは、「映画だ!」と言うしかないものがそこにはありました。すばらしく幸せな気分になりましたよ。工藤里沙、強さと優しさとユーモアを兼ね備えた映画作家として、その名を記憶しましょう。12/14(日)まで、あと4回あるみたいなので、渋谷青山近辺にお立ち寄りの際には、ぜひ少し足をのばして観てみてください。


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