収穫まつり


THEATRE&CO. COREDOで「映画芸術」主催の桃まつり上映会。すでに観ている作品ばかりだったので、まあテルテルポーズの物販だけでもできれば……という意識で最初は臨んだのだけど、予想外に素晴らしい上映会で驚きました。なんというか、真摯な気持ちになった。めっちゃ久しぶりに観た片桐絵梨子『きつね大回転』は独特の映画ならではの文法が非常に楽しめたし、単に妖気な雰囲気に寄りかかっただけではない、底知れないものを感じもした。ラストとかヤバい、面白すぎる。矢部真弓『月夜のバニー』はプロジェクターの影響で通常版よりも暗かったのだが、それがかえってあの映画の持っている闇の力強さみたいなものを浮き上がらせたような気がする。すごい迫力があった。言うまでもなくお母さんの存在感がすごいけど、それを撮るカメラも素晴らしい。


主催の「映画芸術」誌や「nobody」誌の方々、桃監督たち、それから8月に行われる「傑力珍怪映画祭」の面々ともお会いできたし(実は間野ハヤトさんとはあの試写会をきっかけにしばらく長文のメールのやりとりをさせてもらっているので、会えて嬉しかった)、映画のみならず小劇場演劇もしょっちゅう観ているというid:hambunさんにも声かけていただいた。しかもビールまでご馳走になってしまった。


なのでとても楽しく、素晴らしい上映会だったのだが、だからこそついつい長居しすぎたという反省もあります。意識が拡散して、気持ちがざわついてしまったというか。今たぶん本当になんでもめっちゃ吸収してしまうので、人それぞれが発してるアウラのようなものが強烈に残ってしまう。今月は特に無防備だ。今取り組んでることにそろそろ真剣さと集中を要するので、しばらく外出は控えようと思います。もっとひとりにならなくては。比喩的にも現実的にも。




繰り返しますが大変すばらしい夜でした。映画というのは、光と音とユーモアによって構成されている、そのことに気づかされて、そして家に帰ってきて電気を消すと、そこには闇があって、その闇の中にはいろんなものが沈潜しているのだった。見慣れているはずの我が家に恐怖と愛着を感じる。いまはその闇に触れたい。夜が待ち遠しい。