タイガー


人に会うのは好きだし、嬉しいのだけど、心はやっぱりざわついてしまうから、気持ちを静めようと思ってしばらく町を歩いた。東京には坂が多いなとあらためて思う。いろんなことが泡沫(うたかた)の夢のように思われてくる。でもシモキタに帰ってきたら駅前がお祭りチックになっててなんだか人の匂いがした。




夜、胸騒ぎがして眠れなくてパソコンを立ち上げてネットを見て、三沢光晴が亡くなったことを知った。何度バックドロップを食らっても立ち上がってエルボーする彼は正真正銘のヒーローだった。彼こそが僕のプロレスだった。




当たり前だけど、歳を重ねるとそれだけいろんな人が死んでいく。しかし、死ぬ、ということがなんなのか、自分には正直よくわからない。自分は2050年までは生きたいと思っている。というか、今日思った。2050年の世界が観たい。その頃には、僕が会いたいとか、会って嬉しい、と思う人たちは、だいぶ亡くなってるかもしれないけど、きっと地球はまだ回っているし、新しい人たちが空の下で歌っている。それが観たい。





でもその前に、まだまだ観るべきものはたくさんあるな。