風琴工房「おるがん選集 秋編」


観劇直後のtwitterより。

風琴工房、めちゃめちゃ良かった。見れたのはツイッターのおかげだ。「社会」の裏側のめくれた世界というか。いや、世界とかじゃないな。裏でもない。台本も演出もよいよ。でもあの、いるのにいない、いないのにいる、ができるのは演劇だけだしそれをやれる役者さんてすごい。ことば(台詞)のひろがりがすばらしかった。演劇はすばらしいなあ。みんななにかを愛してるなあ。伝わってくるよ。愛のかたちはさまざまだけど。ともすれば単調な「いい話」になりかねないところを救うのは、俳優の力にもかかっている。でも褒めすぎて調子に乗られたら困るので粛粛と俳優道を歩んでほしいです。おれたちはみんな、不具な生き物さ・・・。さあ、渋谷だ。


まず、駒込のギャラリー日月という場所がすごい。初めて行く人は道に迷いかねないので、ぼくは駒込駅からの道案内ツアーに参加した。たどりついたのは本当に普通の民家だった。いや、あれを「普通の」と呼んでいいのだろうか? わずかに15〜20人ほどがなんとか入れる小さなスペース。横光利一の「春は馬車に乗って」は、古い物語だが今もって通用するというか、身につまされる男女の束縛。結婚なんてしたくないな、と思ったあとで、いやいいもんかな、愛っていびつなものだからな、と思い直した。ピチピチとしたあんこう(!)やラストがとても印象的だが、もうひとつまだいけるという感じがしないでもない?


ついで、鷺沢萠原作の「痩せた背中」。やばい。5、6回は涙腺が緩んだ。クリティカルに心の内を突いてくる作品。いるのにいない。いないのにいる。存在とはなんだろう? 僕はやっぱり、こういったいびつだが美しいものが好きであり、そしてこのいびつさ、美しさを体現できる役者さんが好きである。日曜までやってる。とても小さな場所なので事前連絡は必須かと。
http://www.windyharp.org/selection/info.htm