アリス


チェコアニメの巨匠ヤン・シュヴァンクマイエル初の長篇作(1988年)。いうまでもなく『不思議の国のアリス』を下敷きにしたもので、実写とアニメーションとを融合させたつくりになっている。


全体的なトーンは暗いし、仮にそこだけを取り上げれば不快と感じられるような表現も散見されるんだけど、とにかく小さなものたち(道具や生き物)が溢れているせいか、そしていかにもシュルレアリスム的な夢を思わせる“つなぎ”のせいか、まったく窮屈な感じがしない。まだ開いていない未知の扉が、この世界にはたくさんあるのだ。


なおこの作品も、やっぱりアリスが、基本的には受け身なままに流されていくのが面白い。


ヤン・シュヴァンクマイエル アリス [DVD]

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