駅馬車


ジョン・フォード監督の超有名な西部劇。アメリカ西海岸ローズバーグ行きの駅馬車に乗り合わせた男女のやりとりを描いた群像劇で、後半はアパッチ族の襲撃や西部劇お決まりの決闘が見所。お尋ね者のリンゴ・キッド役を演じたジョン・ウェインはこの映画で一躍スター路線に。まあ、名前もいいしねー、リンゴ・キッド。


インディアンの描写についてはさすがに現在となっては人種差別的な問題があるが、とはいえ、実際に彼らを写すにあたっては必ずしも一方的に一義的な解釈ができないようには撮られていると思う(対話は決して成立しえないが)。そもそも人物の写し方が特徴的。「この人はこういうキャラクターである」という瞬間的な諒解はできないが、存在感はたしかにあるという。


それとこの時代の技術的な問題もあるにせよ、おそらくは意図的に、決定的なシーンを”撮らない”ところが面白い。最後の決闘のシーンもそうだし、そこから戻ってきたジョン・ウェインにしても、なぜか顔ではなく背中だけが映し出される。さらには、気が弱いが善人の酒商人ピーコック氏の胸にはいきなり矢が突き刺さるのに、銃で撃たれたある人物に関しては、その場面は枠外に置かれたままで、撃たれたことだけが分かるようになっている。


それにしても、酔っぱらいのドクター・ブーン(トーマス・ミッチェル)が魅力的。オイシイ役だな〜。あと御者のバック(アンディ・ディバイン)の声がものすごくいい。


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