コントレ映画塾

生きるべきか死ぬべきか

わーい3月ですよ。サンガツ。私もブログ2ヶ月つづきました。わーい。 さてエルンスト・ルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』(1942)。観終わった直後に兄が葛生師匠とスカイプでお話ししてて私もそれ聴いてたんでなんかそこで解消されちゃって、特に書く…

ニノチカ

しかしゆうべはひさびさに兄と映画を見ました。エルンスト・ルビッチの『ニノチカ』(1939)。やっぱルビッチ好きだわー。反共プロパガンダ的な映画、というふうに観ることもできるけど、それは野暮ってものでしょう。伝説の元祖ツンデレ、グレタ・ガルボと…

続・河内山宗俊

……と兄が思わず出てきてしまう、って気持ちもわかります。けど、それをどう表現していいものか、言葉が見つからない、ということはやっぱりあるのだと思います。こういう時こそ批評の言葉がほしい。 役者についていえば、まだ超若い原節子がめちゃめちゃよか…

河内山宗俊

山中貞雄『河内山宗俊』(1936)。コントレ映画塾をやってよかったなと心底思う作品。圧倒的に残る。

三つ数えろ

ツンデレである……ってのはハワード・ホークス監督『三つ数えろ』のローレン・バコールが。しかも嘘つきである……ってのはだって、最後の最後まで、彼女は本当のことを言わないから。にも関わらず、ハンフリー・ボガード演じる私立探偵フィリップ・マーロウは…

乱れる

兄が相変わらずなので、今年最初の「コントレ映画塾」も私が書くことにします。といってもこの映画を観たのは数日前で、私自身の情報処理も全然追いついてないんですけど、ま、とりあえずマイペースってことで。 成瀬巳喜男の『乱れる』(1964)。戦争で夫を…

桃色の店

前に呑んでた時に葛生師匠に煽られたせいで、つい「日本のクリスマスなんて……」的発言をして顰蹙を買ってしまったのですが、あれは売り言葉に買い言葉というものでして、実際にはわたくしはクリスマスを愛しているのです。ただ、わたくしはどちらかというと…

北北西に進路を取れ

ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』(1959年)。まずメトロ・ゴールドウィン・メイヤー提供の映画ってことで、オープニングの輪っかの中でライオンが吠えているのが嬉しい(『トムとジェリー』でトムが真似してるやつ)。主人公役のケーリー・グラントは…

娘・妻・母

成瀬巳喜男監督が『女が階段を上る時』に続いて公開した『娘・妻・母』(1960年)。「母もの」で知られる三益愛子を一家の母親役に起用するほか、やや時代に取り残された感のある後家の娘役に原節子、長男・森雅之の妻役に『浮雲』でその森と大恋愛を演じた…

裏窓

ヒッチコックの『裏窓』(1954年)。中庭に面したアパートの住人たちが、いくら暑いからといってここまで開けっぴろげではないだろうとか(なにしろ彼らがブラインドを下ろすのは殺人とセックスの時だけなのだから)合理性に欠けるところが多くてツッコミど…

女が階段を上る時

成瀬巳喜男監督の『女が階段を上る時』(1960年)。洒脱で、痛々しい映画。けっして成瀬=高峰映画の最高傑作ではないと思うのだけど、観終わってなんだか、すごいものが胸に残ってしまった感じがする。 溝口健二の『赤線地帯』と同じく黛敏郎が音楽を担当し…

流れる

幸田文原作、成瀬巳喜男監督の『流れる』(1956年)。川沿いの花柳街の置屋の没落を、女中(田中絹代)の視点から描く。山田五十鈴、高峰秀子、岡田茉莉子、それからこの映画のために約20年ぶりにスクリーンに復帰した栗島すみ子(圧巻の演技)など、大女優…

赤ちゃん教育

ハワード・ホークスの『赤ちゃん教育』(1938年)。結婚を翌日に控えた考古学者/動物学者のデイヴィッド(ケーリー・グラント)が、超わがまま娘のスーザン(キャサリン・ヘプバーン)に振り回されて結婚の約束を台無しにしてしまうスクリューボール・コメ…

めまい

ぎゃー! なんという怖さだろう、ヒッチコックの『めまい』(1958年)。オープニングの時点でもうすでに超絶的な恐怖に打ちのめされてだらーっと汗が出ましたが(高所恐怖症かも、っていうかふつうに熱のせいかも)、ラストでは、今度は全身の毛が3分くらい…

つづいてヒッチコックの『鳥』(1963年)。サンフランシスコの鳥専門のペットショップで出会ったミッチを追って、新聞社社長令嬢の美女メラニーが、「愛の鳥」を持ってボデガ湾に向かう。ミッチはそこで11歳の妹キャシーと、夫に先立たれた母リディアと3人…

コントレ映画塾、開講

えーっと突然ですが、諸々の理由により映画をたくさん観たいと思いました。理由は省きます。今ここで言う必要もないでしょう。 さて映画を観るといっても、フツウのペースで観るのであれば別に今までと変わらないので、どこから始めて、どう進んでいくのか、…

放浪記

林芙美子原作の『放浪記』を成瀬巳喜男監督で映画化したもの(1962年)。高峰秀子が歌って踊って泣いている。喋り方がとくに魅力的。登場する人物たちの設定は幾ぶんデフォルメされているようにも思えるけれど、当時隆盛していたプロレタリア文学と林芙美子…

浮雲

林芙美子原作、水木陽子脚色、藤本真澄製作、岡本喜八助監督、成瀬巳喜男監督の『浮雲』。ゆき子役の高峰秀子の演技には思わずゾッとする。そして恋仲に陥った女を次々と転落させてしまうという、おそらくは20世紀最大のダメ男・富岡を森雅之が見事に演じて…

次郎長三国志シリーズ

高熱がつづく。こりゃ2、3日かかるかも。 マキノ雅弘『次郎長三国志』東映版のつづきを3作。1〜3作目の楽天的な陽気さとはうって変わって4作目の『次郎長三国志 甲州路殴り込み』(1965年)は悲愴感が漂っていて、いささか呪われる。3作目までは関東…

東京物語

ラスト10本目の小津安二郎は、あえて何度か観ている『東京物語』(1953年)にしました。あらすじ解説などはもはや不要でしょう。そしてこの映画が、映画史のみならず、社会史、思想史的にも重要なものであるだろうことは、あらためて確認することができた、…

丹下左膳餘話 百萬兩の壺

夭折した山中貞雄による、現存する数少ない作品のひとつである時代劇コメディ(1935年)。ある武家の家にあった壺が実は百万両の値打ちがあることが判明したが、すでに彼の妻が屑屋に二束三文で売っぱらってしまった後だった。あわてた当主は壺を捜しに出か…

スワンプ・ウォーター

ジャン・ルノワールの作品でツタヤでDVDで借りられるものがこれだけだったため、イヤな予感がしながらもやむなく選んだのだが、やはり予感が的中してしまったというか、これは明らかに失敗作というべきだろう。いくら前近代的な西部劇といっても、人間がここ…

赤線地帯

溝口健二の遺作(1956年)。売春防止法制定前夜の吉原を舞台に、女たちの生きる哀しみを描いた。一人息子との同居を夢見る三益愛仔が、その息子に町はずれの工場で拒絶されるシーンがあまりに壮絶。売春という仕事をめぐっては、政治家、業者、客、父、そし…

成瀬巳喜男『稲妻』

成瀬巳喜男の『稲妻』(1952年)。うわー、もう鼻血でるかと。全身から体液が溢れ出るような感じ。ラスト5分は滂沱の涙で、スクリーンをまともに観られず。これが「東京」だ。これが「女」なのだ……。 娘・高峰秀子と母・浦辺粂子があまりに素晴らしすぎる。…

次郎長三国志(東映版)

マキノ雅弘『次郎長三国志』の東映版、1963年。社会の落ちこぼれたちを寄せ集め、迎え入れていく清水の次郎長。鶴田浩二の若々しい親分っぷりが素晴らしい。若いといえば、松方弘樹(色っぽい)、山城新伍(オバカ)、津川雅彦(ぎゃー)あたりの若さといっ…

赤い河

こ、これはすごい……! もう観ながらゾクゾクしてしまった。ジョン・ウェインが女に別れを告げるシーンから始まるので、一見するとジョン・フォード監督の『駅馬車』の続編のように見えなくもないけれど、このシーンで女が「一日には昼もあれば夜もあるのよ、…

白い恐怖

アルフレッド・ヒッチコック監督が1945年に撮ったサスペンス映画。精神病患者を収容する施設に勤める、ツンデレだが美しい精神科医コンスタンス(イングリッド・バーグマン)は、新たに赴任して来たエドワーズを名乗る長身の若い所長(グレゴリー・ペック、…

駅馬車

ジョン・フォード監督の超有名な西部劇。アメリカ西海岸ローズバーグ行きの駅馬車に乗り合わせた男女のやりとりを描いた群像劇で、後半はアパッチ族の襲撃や西部劇お決まりの決闘が見所。お尋ね者のリンゴ・キッド役を演じたジョン・ウェインはこの映画で一…

ルビッチ『天国は待ってくれる』

昨日、サッカー観戦の帰りに足を挫いてしまって、歩けない状態に。怪我とか珍しいからまるで台風が来た時のような気分でちょっと休養を楽しんでおります。痛いけど。ほんとは横浜行くつもりだったけど。 さて『天国は待ってくれる』。去年公開された日本映画…