放浪記
林芙美子原作の『放浪記』を成瀬巳喜男監督で映画化したもの(1962年)。高峰秀子が歌って踊って泣いている。喋り方がとくに魅力的。登場する人物たちの設定は幾ぶんデフォルメされているようにも思えるけれど、当時隆盛していたプロレタリア文学と林芙美子との距離感は、ニュアンスとしては表現されている、と思う。あと、1920年代のカフエ文化の描写が興味深い。(今のキャバクラとメイド喫茶を足して2で割ったようなもの? 関東大震災も描かれていないし、実際どこまでああいう感じだったのかわからないけど。)
ある意味ではとってつけたように添えられているオープニングとラストシーンが、印象的でした。あれはやっぱり、シネマスコープならではの世界観のようにも思えます。とくにラストは、スタンダードサイズだと意味がない。
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