2008-01-01から1年間の記事一覧

赤線地帯

溝口健二の遺作(1956年)。売春防止法制定前夜の吉原を舞台に、女たちの生きる哀しみを描いた。一人息子との同居を夢見る三益愛仔が、その息子に町はずれの工場で拒絶されるシーンがあまりに壮絶。売春という仕事をめぐっては、政治家、業者、客、父、そし…

幸せの黄色いナントカ

京葉線に乗り込む東京駅で、千葉サポーターのとある人にばったり出くわしてしまう。FC東京が勝てば千葉はJ2に降格するので「今日はほんとすみません」と謝ったところ「あんたんとこは負けてもいいじゃないのよ!」と叱られた……。いや、でもウチもACL出場権…

rhizome of independent artists

Jリーグの最終節が明日行われる。FC東京は降格危機の千葉と対戦するので、僕も明日は千葉に乗り込む予定です。ちなみに今年は選手が大量に解雇される例が相次いでおり、成績不振など様々な理由があるにせよ、その決定的な要因が世界的な不況のあおりによる…

成瀬巳喜男『稲妻』

成瀬巳喜男の『稲妻』(1952年)。うわー、もう鼻血でるかと。全身から体液が溢れ出るような感じ。ラスト5分は滂沱の涙で、スクリーンをまともに観られず。これが「東京」だ。これが「女」なのだ……。 娘・高峰秀子と母・浦辺粂子があまりに素晴らしすぎる。…

工藤里沙『FLying Boat Float』

イメージフォーラム3Fの「寺山修司」(←ハコの名前)で工藤里沙の短編映画『FLying Boat Float ー飛行艇、浮かぶー』を観ました。いやー、本当にすばらしい! ダメ男くんがいて、美女がいて、ヘンなおじさんがいる。美女は早世してしまって、ダメ男くんはフ…

次郎長三国志(東映版)

マキノ雅弘『次郎長三国志』の東映版、1963年。社会の落ちこぼれたちを寄せ集め、迎え入れていく清水の次郎長。鶴田浩二の若々しい親分っぷりが素晴らしい。若いといえば、松方弘樹(色っぽい)、山城新伍(オバカ)、津川雅彦(ぎゃー)あたりの若さといっ…

とあるオーディション

ぐるぐるぐる くるくるくる くくるるるー はにゃーん どどみのっ! 人が殴りかかってしかもそれをコンマの差でかわすのとか観た。 人間の可能性、まだまだあるね、いけるね、 ロボットになる前にまだ全然やることあるよ。 才能とはつまり出会いによって引き…

赤い河

こ、これはすごい……! もう観ながらゾクゾクしてしまった。ジョン・ウェインが女に別れを告げるシーンから始まるので、一見するとジョン・フォード監督の『駅馬車』の続編のように見えなくもないけれど、このシーンで女が「一日には昼もあれば夜もあるのよ、…

白い恐怖

アルフレッド・ヒッチコック監督が1945年に撮ったサスペンス映画。精神病患者を収容する施設に勤める、ツンデレだが美しい精神科医コンスタンス(イングリッド・バーグマン)は、新たに赴任して来たエドワーズを名乗る長身の若い所長(グレゴリー・ペック、…

駅馬車

ジョン・フォード監督の超有名な西部劇。アメリカ西海岸ローズバーグ行きの駅馬車に乗り合わせた男女のやりとりを描いた群像劇で、後半はアパッチ族の襲撃や西部劇お決まりの決闘が見所。お尋ね者のリンゴ・キッド役を演じたジョン・ウェインはこの映画で一…

ルビッチ『天国は待ってくれる』

昨日、サッカー観戦の帰りに足を挫いてしまって、歩けない状態に。怪我とか珍しいからまるで台風が来た時のような気分でちょっと休養を楽しんでおります。痛いけど。ほんとは横浜行くつもりだったけど。 さて『天国は待ってくれる』。去年公開された日本映画…

モンティ・パイソン

友人のmixiにモンティ・パイソンの哲学者サッカー(ドイツVSギリシャ、笑)の動画URLが貼ってあって、あまりに面白かったのでモンティ・パイソンの動画をYouTubeで拾ってみた。こちらは恋人の甘い一時に次々と乱入者が現れるという話の日本語吹き替え版。と…

セックスと哲学

自称詩人でダンス教師の男が、40歳の誕生日を迎えるのを機に、4人の恋人たちを自らのダンススタジオに集める。当然4股をかけていたことはバレるのだが、男は平然とした顔で女たちを宥めながら、彼女たちとの出会いを順番に感傷的に振り返っていく……。 今や…

アリス

チェコアニメの巨匠ヤン・シュヴァンクマイエル初の長篇作(1988年)。いうまでもなく『不思議の国のアリス』を下敷きにしたもので、実写とアニメーションとを融合させたつくりになっている。 全体的なトーンは暗いし、仮にそこだけを取り上げれば不快と感じ…

ネオ・トロピカリアほか

東京都現代美術館で開催中の「ネオ・トロピカリア ブラジルの創造力」。同時開催で、藤原大+イッセイミヤケクリエイティブルーム&カンパナブラザーズによる「COLOR HUNTING in BRAZIL」と、さらに森山大道&ミゲル・リオ=ブランコの写真展「共鳴する静か…

不思議惑星キン・ザ・ザ

冷戦時代の旧ソ連で大ヒットしたといわれるシュールなSFコメディ。水の枯渇した砂一色の世界だが、法秩序体系や倫理や科学技術の有り様がきわめてアンバランスで、とにかく全体的に汚らしい雑駁な感じで包まれている。素晴らしいよキン・ザ・ザ! でもぜった…

キャンディ

テリー・サザーン原作、クリスチャン・マルカン監督で1960年代末に製作され、70年に公開されたコメディ映画。ひとくちでいえば、ロリータ少女が変態オヤジたちに襲われ続けるセクシャルハラスメント・ロードムーヴィー(笑)。 なにしろキャスティングがすご…

だだをこね、られない

「Review House 02」をぱらぱらと読んでいたら、福住廉さんの「ポスト・ナンシーイズムのために――「オタク」という呪縛の彼方へ」という文章があった。ナンシー関のテレビ批評が持っていた「非オタク性」を再評価するもので、非常にシンプルで読ませる文章だ…

作家の裏切り

ひさしぶりによく寝た。ただ昨日の件がイメージとして強烈に残っていて、僕の中ではいまだにくすぶっています。具体的に何が問題だったかというと、役者が特に面白い動きや発言をしているわけではないのに終始客が笑っていて(でもシリアスっぽいところでは…

でももう

なんかいいっす。自分はこう思った、こう感じたということを開陳するのもバカらしくなってきてしまったし。どんどん孤独な感じがしてきてしまうし。うまいもん食って面白いもん読んで観て聴いてればそれでいいっす。

偶像崇拝

今日はほんとは家で掃除とか仕事の整理とかメールのお返事書きとかしようと思っていたのですが、いろいろありまして結局ほとんど外へ出たまんま。諸々のお返事等、しばしお待ちいただけたらと存じます。二、三日かかってしまうかも。急ぎの件がもしあればお…

テンションと饒舌

タナダユキの『月とチェリー』の中で、主人公の男の子が訳あって歳上の女の人とセックスすることになり、そこで泣きながら「俺はこんなことしたくないけど、お姉さんにこうされると勃っちゃうんだよー」と訴えるシーンがあるけど今の僕はまさにそんな気分で…

17才

昨日『俺たちに明日はないッス』をスクリーンで観てからずっとこの歌が流れてる。 だーれもいないうみー ふたりのあーいをたしかめたくってー さて、しっかりしよう。大人だものな。

アイデンティティ・クライシス→グダグダモード点火

毎年この時期になると冬眠したいと思うのだけど冬眠できるほどの備蓄もないせいか、そもそも半分引きこもりみたいな生活だからか、今年は冬眠欲求がそれほど強くないのです。それよりも知的好奇心のほうが勝っていて、とはいえ時間とお金と体力をどのように…

柿喰う客『いきなりベッドシーン』@王子小劇場

基本的にネガティブなものは遠ざける方向で日々を過ごしているのだけど、どうもここ数日は闇を見てしまう傾向があって、困ったものです。本当は自分、ネクラなのではないかと思ったりもする。楽天的で軽薄なのはきっと世を忍ぶ仮の姿なのだ……。とかとか、ま…

文化系トークラジオLife番外編

先日お伝えした文化系トークラジオLifeの番外編(ゲスト:タナダユキ/映画監督)の配信がはじまりました! いつもとちょっと違うLifeが聴けると思います。またタナダユキ監督の新作『俺たちに明日はないッス』は11月22日(土)より渋谷ユーロスペースにて上…

他人と向き合う

この一年、僕がやってきたこと、関わってきたことに対して、いろんな人たちから様々な意見をいただいた。好意的な意見もたくさんもらったけど、批判もさんざん聴かされた。でもそうしたリアクションのひとつひとつに傷ついていた二十代に比べれば、ずいぶん…

告知

いくつか告知です。まず前回のエントリーでお伝えした文化系トークラジオLifeスピンオフの件ですが、メールの受付が本日(金)夕方4時までとなっています。なにとぞよろしくです。 http://www.tbsradio.jp/life/2008/11/post_86.html 「路字」3号の配布が…

【緊急告知】タナダユキ@文化系トークラジオLife番外編

文化系トークラジオLifeの番外編として、『赤い文化住宅の初子』『タカダワタル的』『百万円と苦虫女』などを撮った映画監督のタナダユキさんをゲストに迎えたスピンオフを収録することになりました。テーマは「17歳の明日〜ルート分岐が不在の青春〜」です…

文フリを終えて

文学フリマでテルテルポーズ2を買ってくださった多くのみなさま、本当にありがとうございました! おかげさまで僕的には十二分に手応えを得られました。やっぱ自分で作って参加するほうが断然おもしろいですねー。 さてさて、いろんな人の手に渡ったテルポ…